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岐阜県・郡上市

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岐阜県・郡上市

基礎情報

・総人口:42,795人
・高齢化率:34.62%
・面積:1030.79㎢
・人口密度:41.5人/㎢
・海抜地:最高1,810m/最低110m

活動内容

Step1 コンセンサスの形成

各関係各所の事前調整
 県北西部地域医療センター、国保白鳥病院、郡上市総務部(防災担当)・健康福祉部(高齢福祉課・社会福祉課)等の関係者が集まり、「事業の目的と取組みの概要説明」、「事業の実施方法及びスケジュールの確認」、「モデル地区候補の選定」に関する情報を共有した。(2回開催)

Step2 モデル対象地区の選定

モデル対象地区選定の検討
 市内の各自治体(107自治体)の避難行動要支援者に対する支援体制は、一部の地区を除きほぼ同じ、また、地区社協が実施している支え合いマップ作成もほぼ同じである状況を確認したうえ、選定にあたって「スケジュールとの兼ね合いもあり大きな自治会では事業に取り組むのは困難ではないか?」しかし、「医療との連携が必要である為、病院・診療所が近いほうが良くないか?」、「遠隔地では移動に時間を要する為、近隣の自治会が良いのではないか?」等協議し、国保小那比診療所あり、過去に高齢所管のモデル事業を実施した際にも協力的である「八幡町小那比自治会」の選定に至った。
モデル対象地区
・八幡町小那比自治会
基礎情報
・人口:261人、高齢化率:67.9%、世帯数:123世帯、要支援者名簿登載人数56人、面積:30.95K㎡、地区数:5地区
地域環境
・郡上市の南東部に位置する山間の集落。少し前までは峠を越さなければ他の集落に行けなかったが、南側(関市方面)、西側(郡上市美並町方面)にトンネルが開通。
・また、東側(下呂市方面)には美濃東部広域農道が整備され、交通の便が格段に良化の地域である。
モデル対象地区への事業説明会の確認
 モデル対象地区へ訪問し、「事業の目的と取り組み概要説明」、「小那比自治会を事業実施候補とした理由の説明」、「事業実施方法及びスケジュール」等を説明・確認し、自治会としての協力同意を得た。 <参加者>小那比地自治会(自治会長、地区長、民生児童委員、福祉委員)、県北西部地域医療センター長、郡上市健康福祉部長、次長(高齢福祉課長)、社会福祉課長
(参考)郡上市内における過去の災害履歴
S34.9・伊勢湾台風/S36.9・第2室戸台風/S43.8・集中豪雨/S44.9・岐阜県中部地震/S51.9・豪雨/S55.12・豪雪/ S56.7・集中豪雨/S62.8・集中豪雨/ H14.1・豪雪/H16.10・台風23号/ H23.8・集中豪雨/H26.8・集中豪雨
(参考)郡上市災害時避難行動要支援者登録制度(要支援者名簿)
 災害時の避難行動に支援が必要な人の情報を事前に把握して名簿を作成し、災害時の支援に活用すると共に、要支援者自身の同意を得て、平常時から自治会(自主防災組織)、民生委員・児童委員等の福祉関係者や消防、警察等避難支援機関に対し名簿の提供を行い、地域が連携して普段の見守りや災害時の支援を行うもの。

◆災害時避難行動要支援者とは(対象者)
災害が発生した場合や被災に合いそうなとき、自らを守るために適切な行動が困難で何らかの助けが必要と思われる次に該当する在宅の方。
①ひとり暮らしの65歳以上の方
②介護保険における要介護認定を受けており、要介護3~5の方
③身体障害者手帳の交付を受けており、障がいの程度が1級及び2級の方
④療育手帳の交付を受けており、障がいの程度がA判定の方
⑤精神障害者保健福祉手帳の交付を受けており、障がいの程度が1級の方
⑥市の生活支援を受けている難病患者の方
⑦このほか、災害時の支援が必要と認められる方

◆登録内容  住所・氏名・生年月日・電話番号・緊急連絡先・その他災害時の支援に必要と思われることや、登録事由など申請(登録希望)をされない方についてもお名前、住所、生年月日、性別のみ名簿に記載。

Step3 チームの編成


Step4 対象者の選定

1. 要支援者名簿掲載者56人の内、自治会(民生委員)・医療機関(小那比診療所)が災害時に 健康・介護の課題があると思われる方
2. 名簿掲載者以外で自治会(民生委員)・医療機関(小那比診療所)が災害時に健康・介護の課題があると思われる方

◆課題とは
①認知症、精神疾患等、避難生活継続においての課題があるか?
②特別な医療【点滴、透析、ストーマの利用、床ずれの処置等】が必要かどうか?
③特別な設備【人工呼吸器、酸素、たん吸引器等】が必要かどうか?
④欠かせない医薬品、衛生用品【インスリン注射、アレルギー薬、おむつ等】があるか?
⑤電源を使用する設備【電動ベッド、エアマット、昇降機等】が必要か?
→民生委員に同行していただき32人に対して事業説明を実施

3. 事業説明をして同意が得られた方26人を対象
◎対象者内訳
・男性11人、女性17人
・一人暮らし高齢者16人、高齢者世帯4人、同居世帯6人、介護認定者20人、身体障害者手帳所持者3人

Step5 防災マップの確認

現地踏査の実施
日時
平成29年10月13日(金)14:30~16:45
スケジュール
14:30~ あいさつ
14:40~14:45
グループ分け、作業内容説明
14:45~15:25


参加同意者確認、マップ作成
・注意すべき事項(世帯状況、住居周辺の地形等)を確認し確認調査票へ 記入
・対象者自宅、危険箇所、避難所、避難場所及びエリア内の避難経路を 確認し図面に記入
15:30~16:00 個別計画書の確認
15:25~15:30 現地確認方法説明
15:30~16:30


現地確認
・5グループに分かれて、避難経路上の危険箇所、参加同意者宅周辺の危険箇所(谷川、河川、急傾斜地の有無)避難経路における障害物等の有無及び避難所等の状況確認
16:30~16:45

とりまとめ
・現地確認結果の調査票及び図面記入
16:45 今後の事業実施予定説明、挨拶、散会
場所
小那比地区公民館・小那比地域現地
参加者
21名
(内訳)
・小那比自治会(9名)…自治会長、民生委員・児童委員、福祉委員、郡上市社会福祉協議会八幡地域担当
・郡上市役所(12名)…県北西部地域医療センター長、郡上市健康福祉部長、総務部総務課、健康福祉部社会福祉課、高齢福祉課、健康課

Step6 要援護者に対する支援計画書作成

個別計画策定の実際
アセスメントと個別計画策定
1.アンケート調査の実施
 ―10月17日郵送によりアンケート調査送付
 ―アンケート回収25件(26件中)
2.災害時ケアマネジメント研修会出席
 ―開催日:10月28日(土)
 ―開催場所:愛知県:名古屋市
 ―出席者9人 

 •郡上市社会福祉協議会介護支援専門員3人
 •郡上市役所包括支援センター介護支援専門員2人
 •郡上市役所健康課保健師1人
 •県北西部地域医療センター国保白鳥病院介護支援専門員2人
 •八幡病院リハビリテーション科理学療法士1人(個人参加)

3.個別計画策定担当者の配置及び調査内容協議
1)


作成必要書類確認
・災害時リスクアセスメントシート
・災害時情報提供書
2) 個別計画策定担当者の配置
3) 災害時利用者一覧表(安否確認優先順位)の確認
4) 期限・スケジュール確認
<参加者>
県北西部地域医療センター長、社会福祉課長、地域包括支援センター介護支援専門員、健康課保健師、郡上市社会福祉協議会介護支援専門員、県北西部地域医療センター国保白鳥病院介護支援専門員
個別計画策定の実際
 担当するケアマネジャーがいる方については、担当ケアマネジャー(社会福祉協議会介護相談センター)に策定依頼。担当ケアマネジャーがいない方については、地域包括支援センターケアマネジャー、健康課保健師及び国保白鳥病院ケアマネジャーに協力を依頼し策定。

◆策定の感想
・事前に民生委員に調査に入ることを連絡してもらったことにより、初めて会う方でも快く調査に応じてもらえた。
・聞き取りに際しては相談援助の知識がないと難しい。
・災害発生が夜間か日中か、また曜日によっても対応に違いが出ると思われる。
・避難場所を知らない人も多い。また過去に大きな災害がなかった地域である為か危機感が薄い。
・本人からの聞き取りだけではわからなかった課題が、隣家の方から話を伺った事により判明したものがあった。
・寝室など普段生活している状況を確認したが、事前に確認事項を伝えておいた方がスムーズである。

Step7 地区住民対象説明会の開催

 事業の取組状況を報告するとともに、地域での防災について考えいただく機会として事業実施報告会を開催。
日時
平成30年2月19日(月)13:30~16:00
場所
小那比地区公民館
周知方法
地区役員には案内文書送付、地域住民向けには回覧により周知を実施
参加者
自治会長、民生委員、福祉委員、地区長ほか地域住民 20名、関係機関(介護サービス事業所、社会福祉協議会など)3名、行政関係(モデル事業担当者など)9名 合計32名
スケジュール
13:00~13:30 受付
13:30~13:40
あいさつ
13:40~14:30 事業取組状況報告
(休憩 14:30~14:40)
14:40~15:45
3グループに分かれて災害についてグループ討議
15:45~15:55 討議内容の発表
16:00
閉会
討議の内容
テーマ① 「地域の状況を再確認しましょう。」
・地域での支援を必要と思われる人はひとり暮し高齢者等。同居人があっても昼間仕事に出かけている事があり支援が必要。
・避難の際には地区内において協力が不可欠。車で避難する必要がある。
・少人数でまとまる等、素早い避難が必要。
・伊勢湾台風の際には地域内の大きな家に避難をした。橋が落ちたが早めに避難をしていた。
・河川を中心にして集落が形成されている為、左岸と右岸に分断される恐れがある。
・指定避難所は入口の坂道がきつい。
・耳の不自由な高齢者は防災行政無線の放送などに気づかない事もあり、声掛けが必要。
・外国人研修生がいる為、中国語やベトナム語のハザードマップが必要。
・地域住民は皆顔なじみであり、身体状況等を把握しているが誰が支援をするかまでは決めていない。
テーマ② 「避難した後、何が必要ですか。」
・横になることができるよう毛布。 ・暖房器具、エアマット、ストレッチャー、簡易トイレ、乾パンなどの食料品。 ・透析患者の場合は、治療器具や医薬品が必要。
・おむつや医薬品が必要となる。診療所が近くにあるので医薬品は調達できるのでは?
・通信手段が必要となる。家がある場所なら携帯機種によって電波が届く。野々倉集会所には無線機がある。
・発電機が必要となる。隣接する関市には防災倉庫が設置してあり、備蓄もあるようなので協力を依頼してはどうか。
・電気が必要となる設備もあり、電源の確保が必要。ソーラー対応機器が必要。
・各所で設置されているソーラーパネルを非常時に利用できるような取り組みができないか。
・備蓄品は市役所から運ばれてくるが、それまで待てるか。
・公民館に備蓄品があるが何が備蓄されているか住民が知らない。避難所に備蓄してある物を確認し、普段自分たちで備蓄しておくと良い物を確認する。
テーマ③ 「どうすれば情報の共有、更新ができますか。」
・人が少なくなり地区集会等がなくなった。防災について話し合う機会も限られる。行事を行う場合など住民が集まる機会を利用しての話し合いが必要。
・話し合う場を設けることで情報共有、引継が可能となる。
・9月に実施している防災訓練を活用する。
・防災意識の向上について、まずは行政が説明してくれると良い。
・地区の役員も充て職である。民生委員・福祉委員の活動が重要。
・避難する際に支援は必要と持っていても、責任も重く自分から頼む事ができない。
・地区住民ではないが、毎週里帰りしてくる人も多く、そういう人への情報提供も必要。
・マニュアルとともにハザードマップも併せて配布すると良いのでは。