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地域包括医療・ケアの取り組みと成果

 地域包括医療・ケアは、治療(キュア)のみならず、保健(健康づくり)、在宅ケア、リハビリテーション、介護、福祉まで全てのサービスを包含する全人的医療を行うものです。

 地域包括医療・ケアに長年取り組むことにより、寝たきり老人が減少する、施設ケアから在宅ケアへ移行する、医療費が節減できる、地域経済の活性化が図られる等の成果が現れています。

広島県御調町の取り組みを例にご紹介しましょう。

寝たきり老人が減少する

 厚生省(当時)は、平成3年3月「寝たきりゼロへの10ヵ条」を策定し全国的に寝たきり防止の対策に取り組んでいます。
 広島県御調町(現尾道市御調町)においては、昭和50年初めから、全国に先駆けて寝たきりゼロを目指し出前医療(在宅ケア)を始めました。その成果は、着実にあらわれ、10年を経過した昭和60年頃には、寝たきり老人が3分の1に減少し、その後も在宅老人数が増加し続ける中、寝たきり老人の割合は増加することなく横ばいで推移しています。
 「高齢者が寝たきりになれば、褥そうと関節拘縮がおこり、身体機能の低下と不適切な対応により失禁がおこり、その結果精神機能が低下し痴呆になる」として、在宅ケア、訪問看護、訪問リハビリに取り組んだ結果、寝たきり老人が3分の1に減少したものです。そして「寝たきりの多くは人為的につくられた寝たきりであり寝たきりを防止することは、老人のQOL(生活の質)の向上につながる」として現在も積極的に取り組んでおります。
 全国の国保直診においても、在宅ケア、訪問看護、訪問リハビリ等に積極的に取り組む施設が多くなっています。

■図表「御調町における在宅老人と在宅寝たきり老人の推移」

御調町における在宅老人と在宅寝たきり老人の推移

施設ケア(入所)から在宅ケア(自宅療養)へ

 住み慣れた家で家族と一緒に生活したいというのが多くの高齢者の願いですが、現実には、介護を必要とする高齢者は「家族に迷惑がかかる」と思い、介護する家族は「自宅で介護するには環境や条件が整っていない」等の事情から、施設に入所するケースが多いといわれています。
 在宅ケアの受け皿となる訪問サービス、通所サービス、住宅改修サービス、福祉用具貸与サービスと施設ケアとの連携等を充実することにより、高齢者本人も家族も安心して在宅ケアを選択することができることになります。
 地域包括医療・ケアを推進することにより、施設ケアから在宅ケアへシフトされ、高齢者の生活向上につながります。

健康増進と老人医療費の適正化

 保健(健康づくり)、医療、介護、福祉サービスを関係機関が連携し、一体的にに提供する地域包括医療・ケア、地域包括ケアシステムを構築している地域においては、老人医療費が都道府県平均を下回っています。
 これは、長年にわたり健康づくり、疾病予防事業、在宅ケア等様々なサービスを提供してきている成果であると考えられます。

■御調町一人あたり老人医療費(公立みつぎ総合病院)

  • ・人口8,123人
  • ・高齢化率 30.2%
  • ・病床数 合計 240床
  • (内訳) 一般病床 192床
      療養医療型23床
      療養介護型25床
  • ・国保総合保健施設(H8)
  • ・歯科保健センター(H8)
  • ・老人保健施設
  • ・訪問看護ステーション
  • ・在宅介護支援センター
  • ・デイケアセンター
  • ・デイサービスセンター
  • ・特別養護老人ホーム
  • ・グループホーム  他
  • ・リハビリテーションセンター他

御調町一人あたり老人医療費(公立みつぎ総合病院)

■藤沢町一人あたり老人医療費(国保藤沢町民病院)

  • ・人口10,209人
  • ・高齢化率31.7%
  • ・病床数 一般病床 54床
  • ・歯科保健センター(H12)
  • ・老人保健施設
  • ・訪問看護ステーション
  • ・在宅介護支援センター
  • ・デイサービスセンター
  • ・特別養護老人ホーム
  • ・保健センター
  • ・グループホーム

藤沢町一人あたり老人医療費(国保藤沢町民病院)

■五色町一人あたり老人医療費(五色町国保五色診療所)

  • ・人口11,530人
  • ・高齢化率 27.6%x
  • ・病床数 合計 19床
  • (内訳) 一般病床 7床
      療養医療型2床
      療養介護型10床
  • ・健康管理センター(S62)
  • ・歯科保健センター(H11)
  • ・在宅介護支援センター(基幹型)
  • ・ディケアサービス
  • ・ディサービス
  • ・訪問介護

五色町一人あたり老人医療費(五色町国保五色診療所)

地域経済の活性化につながる

 地域包括ケアシステムが進むほど、附随的に地域経済の活性化につながる効果が出てきています。
 多くの国保直診が立地している地域は、高齢化が著しい過疎地、中山間地等の都市部以外の地域ですが、病院や老人保健施設、ケアハウス、グループホーム等の施設の運営や各種保健事業を推進するために、専門職等多くのマンパワーが集まり地元住民の雇用の増大にもつながっています。また、入院、入所、通院、通所の患者や家族、そして職員等施設を訪れる人々によって昼間人口の増加と消費など地域の活性化がみられます。
 中には、その町の地域包括ケアシステムによるサービスを受けたいがため家族揃って転入してくるケースもみられます。

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