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H1

年度別主要調査研究事業

主要調査研究事業
2002/03/31:生活習慣病予防及び介護予防のための在宅高齢者歯科口腔ヘルスアセスメント作成等事業

目的

要介護状態を誘発する要因として、「IADL低下」「転倒」「低栄養」「閉じこもり」「疾患」などが挙げられている。近年、口腔状況と全身健康状態との相関から口腔保健向上の重要性が注目されている。そこで要介護状態を誘発する因子と口腔内状況の関連性を探る調査を行い、その結果を基に、介護予防のための口腔ヘルスアセスメント票を作成することを目的とした。

事業内容

全国の国保歯科保健センター24施設を調査施設とした。所在市町村ごとに1921年生まれ(80歳)を中心に約100名無作為抽出し、対象者をスクリーニングする生活機能アンケートを行った。老研式活動能力指標の得点より健常者群(13点満点)と要介護ハイリスク群(8点以下)を各郡15名抽出して調査対象とし、面談調査および口腔内検査を行った。有効回答者(663名)のうち、転倒群(過去1年間で転倒した者)は156名(23.5%)、低栄養群(6ヶ月間で体
重が5%以上減少)は117名(17.6%)、閉じこもりタイプ1(身体に障害があって外出困難)は83名(12.5%)、閉じこもりタイプ2(身体の障害はないか軽度)は43名(6.5%)であった。

事業成果

要介護ハイリスク群は健常者と比べて総義歯の割合が高く、義歯に問題がある割合が高かった。また、「味覚異常」等の口腔の諸症状が有意に高かった。転倒群は非転倒群と比較して「義歯未使用」、「ぐらつく歯」「むせる」「義歯不安定」などの口腔関連項目が有意に高かった。低栄養群は「口臭」「開口障害」「味覚異常」等の項目が有意に高かった。転倒に関しては、皎合の不具合が転倒の誘因に、低栄養については咀嚼、嚥下機能の低下や食欲減退
が低栄養の原因になっていることが示された。閉じこもりに関しては身体的な要因のために口腔清掃自立度の低下、口腔環境の悪化がさらに活動意欲の低下につながる悪循環を繰り返している可能性がある。今回の調査より要介護要因と口腔状況に相関があることが明らかに示され、介護予防の観点からも口腔保健の重要性が強調された。また、これらの結果を基に介護予防のための高齢者口腔アセスメント表を試作した。 

報告書

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